STEMI患者の「ゴールデンアワー治療」の真の効果は
Primary Percutaneous Coronary Intervention within the First Hour: Insights from Early-Treated Patients with ST-Elevation Myocardial Infarction
背景
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)において、再灌流療法の効果は時間に依存するが、発症から早期(3時間以内)に受診した患者に対し、ランダム化から60分以内にprimary PCI(PPCI)を行う「ゴールデンアワー治療」の効果は。
カナダUniversity of AlbertaのArmstrongらはSTREAM-1(n=1892)およびSTREAM-2試験(n=604)のデータを統合し、これを検証した。
心電図(ST部分消失、Q波)・血管造影(TIMIフローグレード)・全死因死亡・心原性ショック・心不全・再梗塞の30日間複合スコア、安全性アウトカム、および1年死亡率を評価した。
結論
「ゴールデンアワー治療」群(29.2%)は、それ以降の群と比較して30日時点の死亡・ショック・心不全・再梗塞複合エンドポイントの発現率が有意に低かった(10.1% vs. 14.8%)。心原性ショックのリスクは62%減少し、退院時の心電図における異常Q波の消失率(58.2% vs. 71.9%)や1年死亡率(4.0% vs. 7.2%)でも優位性が認められた。安全性指標に群間差はなかった。
評価
この問題に関しては、「D2Bが90分にまで短縮しても院内死亡率には著変がない」という2013の悲観的データがある(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1208200)。R2Pが60分以内というここでの線引きはそれに近いもので、1年死亡率が下がる、という結論は、類似事態の別側面を見ている可能性もある。著者らは、この患者集団におけるランダム化からPPCIまでの約70分の短縮が、心原性ショックの劇的な抑制に直結した点を強調している。実臨床においては、発症からPCIへの時間(S2P)の短縮が、救命率向上と心機能保持の鍵となる。


