アジア人での妊娠高血圧症候群の心血管疾患リスクを大規模調査
Hypertensive Disorders of Pregnancy Subtypes and Long-Term Cardiovascular Risk
背景
妊娠高血圧症候群(HDP)は長期的な心血管疾患(CVD)リスクの増加と関連するが、子癇前症以外のサブタイプによるリスクの差異や分布、特にアジア人女性における詳細・大量データは存在しない。
韓国Seoul National UniversityのKwakらは、韓国の国民健康保険データベースを用い、HDPのサブタイプ別リスクを約13年にわたり追跡検証した(n=570,843)。
結論
HDP患者(4.0%)は非HDP群と比較して心血管イベントリスクが1.62倍高かった。特に慢性高血圧に合併した子癇前症のリスクは2.93倍と最も高く、絶対リスク増は1,000人年あたり約2.10件であった。全サブタイプで心不全と脳卒中のリスクが増加し、多くでCVDによる死亡率の上昇が認められた。慢性高血圧や特定不能の高血圧では心房細動のリスクも有意に上昇した。
評価
欧米人に関するデータの多い主題を、アジア人集団において初めて大規模に検討した。結果は欧米データと類似しており、アジア人でもHDPの全サブタイプが長期的CVDリスクの独立した予測因子であることを確認した。著者らは、特にリスクが顕著であった合併型子癇前症の患者に対する産後の積極的心血管モニタリングの必要性を強調している。従来の臨床では子癇前症に注目が集まりがちであったが、本研究は「特定不能の高血圧」や「慢性高血圧」も脳卒中や心不全のリスクを長期的に高めることを示しており、産科医と循環器医の連携による生涯にわたる健康管理の重要性が改めて確認された。


