イギリス救急医療の現状 患者の1割が廊下でのケアを受ける
Understanding corridor and escalation area care in 165 UK emergency departments: a multicentre cross-sectional snapshot study
背景
イギリスの医療制度は、地域のかかりつけ医(General Practitioner)を起点として専門医療へ接続することで医療資源を配分するデザインとなっている。ただ、救急医療の現場では、院内フローの滞りから、待合室や廊下といった非臨床スペースでの臨時診療(いわゆるcorridor care)が常態化しており、問題となっている。
イギリスTrainee Emergency Research Networkは、同国165施設の救急外来を対象とし、2025年3月上旬に設定された5つのスナップショット時刻において、非標準的な治療スペース(エスカレーション・エリア)でのケアの割合を調査する前向横断調査を実施した。
結論
5つのスナップショット全体で、救急外来患者の17.7%にあたる10,042名がエスカレーション・エリアでケアを受けていた。
いずれの時点においても、入院ベッドの空きを待つ患者数はエスカレーション・エリアの患者数を上回っていた。このうち廊下など、そもそも非臨床的なスペースでのケアは54.5%〜61.1%を占めた。また、救急個室あたりの患者数は1.0〜2.4人で、複数人の患者が配置されることが常態化していた。蘇生室が利用できない施設も各時点で10.5%〜26.2%に上った。小児患者、精神科患者は、エスカレーション・エリアでケアを受ける可能性が高かった。
評価
Corridor careは例外ではなく、常態化しており、出口(入院病床)の詰まりがこの混雑の原因である可能性が高く、主に小児・精神科患者というvulnerableな集団が皺寄せを受けていた。
比較的低コストな点有病率調査により、イギリス救急の逼迫状況を定量的に可視化した意味は大きい。


