外傷患者ではその後の自殺リスクが9倍に:ノルウェー
Risk of Suicide in Patients With Traumatic Injuries

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
January 2026
9
開始ページ
e2554168

背景

2003年のニュージーランドからの報告によれば、外傷性損傷のサバイバーでは自傷・自死のリスクが上昇する(https://doi.org/10.2105/ajph.93.7.1128)。ただしこの研究では、社会経済的地位、精神疾患既往、併存疾患などが考慮されておらず、高品質なデータでの検証が求められていた。
ノルウェーUniversity of OsloのRasmussenらは、同国の5件の全国規模レジストリおよび統計局から収集されたデータを用い、2015年から2018年にNorwegian Trauma Registryに登録された外傷患者(n=25,653)を、生年・性別で一致する一般集団の対照者(n=247,095)と1:10でマッチングし、非自殺死亡を競合イベントとして考慮した自殺リスクを調査するマッチングコホート研究を実施した。
併存疾患(Charlson Comorbidity Index)、精神疾患既往、社会経済的地位(SEP)について逆確率重み付けによって調整が行われた。

結論

対照群の平均年齢は41歳(標準偏差23歳)、68%が男性であった。
外傷後患者における自殺の累積発生率は、2年間で0.18%、5年間で0.34%と、対照群の0.02%、0.05%より有意に高かった。
外傷後患者の自殺では対照群の自殺よりも自殺時の年齢が高く、また自殺者に占める女性の割合も外傷後患者で高かった(36% vs. 17%)。
20〜59歳の患者、重症度が高い患者(Injury Severity Scoreが15以上)、外傷イベント以前に精神医学的診断歴のある患者、交通事故/転倒以外の機序または暴力による外傷患者では、自殺のリスクが高かった。

評価

ノルウェーで発生した外傷患者をほぼ網羅する高品質なデータからも、過去の研究と一致して、外傷後患者での自殺率の大幅な上昇が確認された。
調整されなかった背景因子に由来するものもあるだろうが、一方で外傷に直接起因する心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが自殺のリスクを引き上げている可能性もある。外傷後患者の苦痛やありうる介入についてさらなる調査が求められる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)