収縮期血圧130 mmHg未満達成後の低拡張期血圧の認知機能・脳構造への影響を否定:SPRINT-MIND試験の二次解析
Diastolic Blood Pressure and Cognitive Function in Adults With Achieved Systolic Blood Pressure Below 130 mm Hg: Insights From the SPRINT-MIND Trial
背景
血圧を下げすぎるとかえって健康を害するという「Jカーブ現象」への懸念、特に拡張期血圧(DBP)の過度な低下が認知機能に悪影響を及ぼすという仮説が注目されてきた。
中国Capital Medical UniversityのCaiら(SPRINT-MIND)は、ガイドラインが推奨する収縮期血圧(SBP)130 mmHg未満を達成した成人4,424名を対象に、低DBPと認知症・脳構造変化(白質病変や脳容積)の関連を解析した。
結論
各種共変量の調整後、低DBP(60 mmHg未満および60〜69 mmHg)は認知症や軽度認知障害(MCI)のリスク上昇と有意な関連を示さなかった。MRI解析においても、低DBPは白質病変の増加や総脳容積の減少とは無関係であった。一方、達成DBPが高いほど脳血流量が低下した(5 mmHg増加あたり−1.94 mL/100 g/分)。
評価
SBPコントロール下での低DBPは脳潅流圧を下げて認知機能を障害する、という仮説を否定する強いエビデンスである。厳格降圧アプローチでは、SBP管理過程でDBPが60 mmHgを下回ることは頻繁にあり、これに対する臨床医の不安を払拭する。著者らは、粗モデルでは低DBPと認知症の間に相関が存在するが、背景因子を適切に補正すればその相関は消失する、と強調している。


