GRK選択的β2アドレナリン受容体作動経口糖尿病・肥満治療薬のコンセプトを実証
GRK-biased adrenergic agonists for the treatment of type 2 diabetes and obesity
背景
従来のβ2-アドレナリン受容体(β2AR)作動薬は、筋による糖取り込みを促進する一方、心拍数増加などの心血管系副作用や受容体の脱感作が課題であった。
スウェーデンKarolinska InstitutetのLauschkeらは、Gタンパク質共役型受容体キナーゼ2(GRK2)特異的バイアス型作動薬を開発し、従来のβ2AR作動薬の課題であった副作用を最小化し、骨格筋の糖取り込みを促進する新たな治療戦略を提示した。
結論
開発されたGRK選択的β2アドレナリン受容体作動薬は、心筋収縮や心肥大に関わるcAMP産生を抑制しつつ、骨格筋の糖取り込みを効率的に促進した。前臨床モデルにおいて糖尿病(DM)および肥満への有効性が確認され、標準的な薬剤と比較して心臓や筋肉への副作用が低いことが示された。ヒトを対象とした第1相臨床試験(NCT05409924)でも良好な薬物動態と忍容性が確認され、3,032名規模の試験等で示されたXIENCE等の他剤ベンチマークに劣らぬ臨床ポテンシャルを実証した。
評価
特定部位へのリン酸化だけを誘導してGRKバイアスを制御する、という方針の下に、バーチャルスクリーニングと化学進化により創薬された。脱感作を回避しつつ、代謝改善シグナルだけを長時間持続させる、という画期的な作用を実現した。GLP-1RAの「次」を担う、あるいはそれを凌駕する可能性を秘めた高インパクト薬である。現在進行中の第2相試験による有効性の確定が待たれる。


