脳卒中遠隔医療 (テレストローク)は血栓溶解療法の実施率を高めるが時間は延びる
Telestroke and Timely Treatment and Outcomes in Patients With Acute Ischemic Stroke

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
September 2025
8
開始ページ
e2534275

背景

テレストローク(telestroke)は、脳卒中専門医が不在の地域でも治療適応や搬送の判断を適切に行うために、情報通信技術を用いて遠隔地から診療をサポートするもので、日本でも2020年に「脳卒中診療における遠隔医療ガイドライン」が制定されるなど、実装の動きが拡がっている。
アメリカUniversity of MichiganのStammらは、2022年から2023年に、Paul Coverdell Michigan Stroke Registryに参加する病院42施設を受診し、血栓溶解療法の適応となる可能性がある急性虚血性脳卒中患者(n=3036)を対象とした後向コホート研究を行い、血栓溶解療法の実施率、さらにdoor-to-needle(DTN; 病院到着から穿刺までの時間)に対するテレストロークの影響を評価した。

結論

対象患者のうち、25.9%にあたる785名がテレストロークによって評価を受け、患者全体の55.1%が血栓溶解療法を受けた。
テレストロークによって評価を受けた患者は、血栓溶解療法を受ける確率が有意に高かったが(調整オッズ比 1.61)、DTN時間は6.55分延長し、ガイドラインに準拠した1時間以内のDTNを達成する確率は低かった(0.56)。
病院間搬送を受けた患者(n=255)においては、テレストローク評価はdoor-in-door-out(最初の病院到着から搬送開始までの時間)の延長と関連した(46.9分)。

評価

ミシガン州のデータからは、テレストロークが血栓溶解療法の実施と関連する一方、DTN/DIDO時間の延長とも関連することが明らかにされた。
脳卒中治療は時間依存性が高く、治療・搬送の遅れはそのベネフィットを打ち消してしまう可能性もある。テレストローク・システムの有効性を最大化する上でも、DTN/DIDO時間の短縮は重要な品質改善ターゲットとなるだろう。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)