HPVワクチンは子宮頸がん前がん病変の発症を予防する:コクランレビュー
Human papillomavirus (HPV) vaccination for the prevention of cervical cancer and other HPV-related diseases: a network meta-analysis
背景
高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染は子宮頸がん発症の主因であり、他にも膣がん、外陰がん、陰茎がん、肛門がん、頭頸部がんなどの原因となる。若年世代へのHPVワクチン接種は、複数のランダム化比較試験において、子宮頸がんの前がん病変(子宮頸部上皮内腫瘍[CIN])を予防可能であることが示されている。
イギリスThe Cochrane CollaborationのBergmanらは、電子データベースの検索を通じ、HPVワクチン(Cervarix, Gardasil, Gardasil‐9, Cecolin)を評価したランダム化比較試験を特定し、女性・男性の子宮頸がん・その他のHPV関連疾患の予防に関するHPVワクチンの安全性・有効性を評価するペアワイズ・メタアナリシスおよびネットワーク・メタアナリシスを実施した。
結論
60件の研究が対象となった。参加者の総数は157,414名で、フォローアップ期間は7ヵ月から11年の間であった。15歳未満の男性、あるいは25歳以上の男性を対象とした研究はなかった。
総じて、がんをアウトカムとして評価するのに十分な期間の研究はなく、4件の研究はがんに関する報告を行ったものの、がんイベントは1件もなかった。
15〜25歳の女性では、HPVの型に関わらず、6年後にCIN2+の減少が認められ(リスク比 0.70)、ワクチンと一致する型のCIN2+に関しては、より大きな減少が認められた(0.40, ともに中等度の確実性)。
15〜25歳の女性ではGardasil・Gardasil‐9の接種後、一致する型の高悪性度外陰上皮内腫瘍(VIN)、膣上皮内腫瘍(VaIN)のわずかな減少が認められた(中等度の確実性)。
男性同性愛者では、Gardasilにより、HPVの型に関わらず、高悪性度の肛門上皮内腫瘍(AIN)の減少が認められた(0.75, 低い確実性)。
高悪性度陰茎上皮内腫瘍(PeIN)については、Gardasil群でほとんど、あるいは全く差がないことが報告された。この他、重篤有害事象についてはHPVワクチン群と対照群でほとんど差がなく、HPV関連の浸潤前(pre‐invasive)病変への治療はHPVワクチン群で減少し、肛門性器疣贅の発症もHPVワクチン群で減少した。
評価
全体としてHPVワクチンにより、CIN2+や肛門性器疣贅といった前がん病変の減少がもたらされた。
ランダム化試験では追跡期間が短く、がんの発症に対する効果は確認されなかったものの、観察研究では子宮頸がんリスクの低減効果も認められており(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1917338)、国内での積極的な勧奨の再開はエビデンスレベルで支持されていると言えるだろう。


