塩基編集を用いた新規CAR-T細胞療法がT細胞性ALLの大半に寛解
Universal Base-Edited CAR7 T Cells for T-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
January 2026
394
開始ページ
152

背景

CD7はT細胞性急性リンパ性白血病(ALL)において一貫して高発現しており、T-ALLに対するキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の魅力的な標的とみなされてきた。一方で、CAR-Tが自分自身を標的とみなして攻撃してしまう兄弟殺し(fratricide)と呼ばれる重要な問題があった。BE-CAR7は、抗CD7 CAR(CAR7)を導入しつつ、塩基編集により複数の遺伝子を不活化することでこの問題に対処し、2023年には最初に投与が行われた小児患者3名について報告を行っている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2300709)。
イギリスGreat Ormond Street Hospital for Children NHS TrustのChiesaらは、16歳以下の再発/難治T-ALL患者において、リンパ球除去(フルダラビン+シクロホスファミド+アレムツズマブ)の後、BE-CAR7 T細胞を投与し、28日目までに寛解が得られた患者では同種造血幹細胞移植へと進む第1相試験を実施した。

結論

小児患者9名と、コンパッショネート使用により成人患者2名に投与が行われた。
リンパ球除去療法とBE-CAR7の投与は、許容できない有害事象には繋がらず、全患者で循環血中のCAR7 T細胞が検出された。合併症として、グレード1-4のサイトカイン放出症候群、一過性の発疹、複数血球系統での数的減少、日和見感染症などが発生した。
全例で、28日時点の完全寛解が認められ、9名(82%)は深い寛解に達し、幹細胞移植へと進んだ。骨髄中に微小残存病変が認められた2名は緩和ケアを受けた。移植により、残存するBE-CAR7 T細胞は除去され、ドナー由来の多系統細胞再構築が生じた。
投与を受けた11名のうち7名では、移植後3〜36ヵ月時点で寛解が持続しており、2名ではCD7発現の消失を伴う白血病が報告された。

評価

CRISPRガイドの塩基編集によって製造されたoff-the-shelf製剤であり、患者の大半に深い寛解をもたらし、移植を可能にした。
T-ALLへのCAR-T細胞療法の実現可能性を示す心強い結果であるが、CD7発現喪失による再発がすでに認められており、抗原逃避への対策も今後の課題となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)