減量と骨健康の間のトレードオフを再確認
Bone Health Following Lifestyle-Induced Weight Loss in Individuals With Overweight/Obesity: A Narrative Review
背景
過体重や肥満に伴う多様な合併症は、5〜10%の減量によって健康状態が大幅に改善するが、肥満者は骨の質に問題を抱えている場合が多く、意図的な減量は逆に骨の健康を悪化させる可能性がある。
スイスGeneva UniversityのPapageorgiouらは、生活習慣(食事・運動)による減量が骨の健康に与える影響を網羅的に把握するナラティブレビューを行った。
結論
5〜10%の減量は骨吸収を亢進させ、股関節を中心に持続的な骨密度低下を招く。限定的なデータでは、脆弱性骨折リスクの上昇も示唆される。対策として、レジスタンス運動やカルシウム・ビタミンD・高タンパク摂取が有効だが、骨消失を完全に防ぐことは困難である。
評価
この問題は古く、すでに10年前にメタアナリシスが行われており(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26012544/)、そこでは減量による骨密度減少は「代謝効果と比較すると影響は少ない」とされている。ナラティブレビューでこれを覆すことは困難である。著者らは、骨密度の低下は体重減少の副産物ではなく、防ぐべき副作用である、というパラダイム転換を意図しているが、減量における代謝改善と骨への負の影響というトレードオフに関しては、特にGLP-1受容体作動薬登場以後の現在の水準でメタアナリシスが必要となっている。


