多剤耐性菌陰性の敗血症患者では4日目からデ・エスカレーションが可能
Antibiotic De-Escalation in Adults Hospitalized for Community-Onset Sepsis
背景
広域スペクトル抗菌薬(BSA)の経験的投与は、多剤耐性菌感染のリスクが高い患者において死亡率の低下をもたらすことが示されている。ただし、経験的BSA療法には有害事象のリスクもあり、初期の検査で多剤耐性菌が特定されない場合には適宜デ・エスカレーションすることが推奨されている。
アメリカVA Ann Arbor Healthcare SystemのGuptaらは、ミシガン州のMichigan Hospital Medicine Safety Consortium参加病院67施設に市中発症敗血症で入院し、経験的BSA投与を開始された成人患者36,924名を対象に、入院4日目でのBSAデ・エスカレーション、またはBSA継続が、90日死亡率・その他アウトカムに与える影響を、target trial emulation(TTE)フレームワークによって評価した。
結論
18.8%にあたる6,926名がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を標的としたBSA療法のTTEの対象(MRSA陽性または死亡患者は除外)となり、30.2%(11,149名)が緑膿菌(PSA)標的療法のTTEの対象となった。各集団の43.2%、22.4%でデ・エスカレーションが行われた。
治療の逆確率によって重み付けを行ったところ、抗MRSA療法(オッズ比 1.00)と抗PSA療法(0.98)のデ・エスカレーションは、90日死亡率に関してBSA療法の継続と差がなかった。さらに、抗MRSA療法と抗PSA療法のデ・エスカレーションは、抗菌薬投与日数の短縮、入院期間の短縮と関連した。
評価
シミュレーションにより、BSA開始から4日目時点で多剤耐性菌陰性であった患者では、デ・エスカレーションは安全であり、抗菌薬期間・入院期間の短縮につながることを示した。
ガイドラインの推奨に裏付けを与える研究だが、同時にデ・エスカレーション実施に大きな施設差がみられることも明らかにされており、推奨と実践とのギャップを埋めることも重要な論点となるだろう。


