特発性VTE後の抗凝固薬は「無期限継続」:最大の観察研究
Continued versus discontinued oral anticoagulant treatment for unprovoked venous thromboembolism: target trial emulation
背景
特発性の静脈血栓塞栓症(VTE)に対する初期治療後の抗凝固薬継続の是非は議論がある。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのLinらは、米国の代表的な2つの日常診療データベースを用い、可逆的誘発因子を伴わない初回VTEの入院後30日以内にOACを開始し、90日以上治療を継続した患者70,755名において、OAC継続と中止の1:1の傾向スコアマッチングを行い、長期継続の便益とリスクを解析した。
一次アウトカムは、再発性VTEによる入院(有効性)および重篤な出血(安全性)であった。
結論
継続群では、中止群に比べVTE再発リスク(HR 0.19)・死亡率(0.74)が低かった。大出血リスクは1.75と有意に上昇したが、再発と出血を合わせた統合純臨床ベネフィットは一貫して継続群が優れており、この傾向は3年以上の長期継続においても認められた。
評価
この問題に関する最大の観察研究である。特に、長期継続の可否についてはRCTが困難で、ここでの結論「純臨床ベネフィットでは継続に軍配が上がる」は重い。特にDOACは、長期投与における安全性が際立つことも示されている。特発性VTEは無期限治療継続、という基本方針を支持するデータとなるが、特に高齢者で純ベネフィットが高くないことも示されており、個別化における最重要ポイントとなる。


