涼冷国スウェーデンで心不全患者に対する気候変動の死亡リスクを検証
Short-Term Exposure to Low and High Temperatures and Mortality Among Patients With Heart Failure in Sweden
背景
心不全患者は気温変化に脆弱であるとされるが、高緯度地域であるスウェーデンでは。
アメリカHarvard T. H. Chan School of Public HealthのNiらは、2006〜2021年に同国で死亡した心不全患者250,640名のデータに基づき、地域ごとの温度パーセンタイルを用いて死亡リスクとの関連を後向調査した。
結論
気温と死亡率にはU字型関連が認められ、低温および高温の双方が全死因および心血管死亡リスクを増加させた。全死因死亡のオッズ比は、低温で1.130、高温で1.054であった。心血管死亡については、2014〜2021年の期間において高温によるリスクが1.084と、以前の期間よりも上昇しており、高温に関連する死亡リスクが経時的に増加していることが示された。
評価
スウェーデンでの温暖化(平均気温が1800年代後半から約2℃上昇)は、世界平均(約1.1℃)の約2倍(北極増幅)であり、気候変動による高温曝露の心不全患者へのインパクトを検討するモデル国となりえる。ここでのHarvard Chan大規模調査により、スウェーデンのような冷涼地域でも熱波への適応が追いつかず、高齢の心不全患者の死亡リスクが急増している現状が示された。特に、男性や糖尿病合併、利尿薬使用者は低温に弱く、心房細動合併患者やオゾン高濃度環境下では高温の悪影響が強まる、という知見は重要である。高緯度地域であっても、熱波に対する公衆衛生上の警報システムや個別化されたケア戦略の導入が急務である。


