通信指令員の「疑い」を指標にすると脳卒中のトリアージ感度が上がる
Stroke Sensitivity Calculation in Medical Emergency Calls and Factors Associated With Stroke Suspicion: A Retrospective Registry-Based Study
背景
脳卒中の治療は時間制約的であり、緊急通報において通信指令員が脳卒中を適切に認識できるかどうか、は予後に大きな影響を与えうる。
ノルウェーUniversity of BergenのIversenらは、同国のNorwegian Stroke Registryから、ベルゲンの救急医療センターの管轄エリア内で脳卒中を発症した患者(n=1,164)を特定し、データセットを手作業で構築、通信指令員によって初期評価が行われた症例(n=838)における通信指令員の脳卒中認識能力を調査した。
結論
通信指令員によって脳卒中が疑われたのは644名で、うち脳卒中コードが割り当てられていたのは82.5%で、14.8%は自由記述欄での「脳卒中疑い」の記述、2.8%は「脳卒中疑い」の記述はないものの、優先度「緊急」に割り付けられたものであった。疑われなかったのは194名であった。
脳卒中コードのみに基づく感度は63.4%、それ以外の「疑い」も含めた場合の感度は76.8%であった。
脳卒中疑いは、虚血性脳卒中(オッズ比 0.317)、wake-up脳卒中(1.716)との関連が認められた。症状のうち、脳卒中疑いと正の相関を示したのは失語/構音障害のみで(1.600)、下肢の麻痺(0.609)、めまい(0.376)は負に相関した。
評価
最終的にコードに反映されたかだけでなく、通信指令員が脳卒中を疑ったケースまで含めると、脳卒中判定の感度が向上することを示した。
本研究のデータセットは真の脳卒中のみで構成されており、偽陽性などを考慮できない制限はあるが、指令員の印象が緊急通報におけるトリアージで重要な変数となりうることを示唆した。


