休眠がん細胞を標的とした治療は再発を抑制するか:第2相CLEVER試験
Targeting dormant tumor cells to prevent recurrent breast cancer: a randomized phase 2 trial
背景
がん患者ではしばしば初期の治療が奏効したようにみえながら、その後に再発が生じる。腫瘍細胞の休眠という発想は、遅発再発を説明するメカニズムとして古くから存在しており、これをどのように標的化するかが探究されてきた。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのDeMicheleら(CLEVER)は、休眠する残存腫瘍細胞を有するマウスにおいて、クロロキン/ヒドロキシクロロキンによるオートファジーの一過性阻害とラパマイシン/エベロリムスによるmTOR(mammalian target of rapamycin)シグナル伝達経路の持続的阻害が、残存腫瘍細胞量を減少させ、持続期間に依存的に無再発生存期間を延長することを示した。
さらに、この知見を臨床レベルで評価するため、骨髄液中で播種性腫瘍細胞(disseminated tumor cells: DTCs)が検出された診断5年以内の乳がんサバイバーを対象に、ヒドロキシクロロキン、エベロリムス、および両者の併用を検討する第2相RCTを実施した(n=51)。
結論
治療の忍容性は高く、1名のみがグレード3の毒性により治療中止に至った。
3年無再発生存率は、ヒドロキシクロロキン群で91.7%、エベロリムス群で92.9%、併用群で100%であった。
DTCが消失した患者では無再発生存率が高かった(ハザード比 0.21)。また、3サイクルの投与によって、DTCが減少、または検出限界以下となる事後確率は98〜99.9%であった。経過観察と比してDTCが減少する確率は、ヒドロキシクロロキン群80%、エベロリムス群78%、併用群87%であった。
評価
血中の微小残存病変(MRD)をマーカーとした補助療法はすでにあるが、本試験のコンセプトは、診断から一定期間が経過したサバイバーでMRD自体を治療標的とすることで、腫瘍の休眠戦略を直接叩くというものである。
ヒドロキシクロロキンまたはエベロリムスによる治療は、DTCの減少・消失をもたらし、無再発生存率も高かった。第3相検証を正当化する有望な概念実証である。


