小児敗血症性ショックではノルアドレナリンの方が良い?
Epinephrine vs Norepinephrine as Initial Treatment in Children With Septic Shock
背景
小児敗血症における初期昇圧薬としては、ドパミンよりもアドレナリンが優るとしたエビデンスはあるものの、アドレナリンとノルアドレナリンに関しては決定的なエビデンスはなく、推奨状況はガイドラインによって異なる。
アメリカBoston Children's HospitalのEisenbergらは、同施設で敗血症性ショックと診断され、救急外来に到着から24時間以内に血管作動薬の投与を要した小児患者(n=231)を対象とした後向コホート研究を行い、傾向スコアマッチングにより、アドレナリン・ノルアドレナリンと30日以内の主要有害腎イベント(MAKE30)との関連を検証した。
結論
63.6%が初期にアドレナリン投与を受け、36.4%はノルアドレナリン投与を受けた。
アドレナリン群(n=147)では、6.1%がMAKE30基準を満たし、4.1%が30日以内に死亡した。ノルアドレナリン群では3.6%がMAKE30基準を満たし、死亡例はなかった。
逆確率重み付けを行ったところ、MAKE30に群間の有意差は認められなかった。一方、傾向スコアマッチングではアドレナリンは30日死亡率の上昇と関連した(3.7% vs. 0%)。
評価
一次アウトカムであるMAKE30には差がなかったものの、死亡率はアドレナリン群で上昇した。
あくまで単施設の後向研究ではあるが、ノルアドレナリンのベネフィットを示唆し、ランダム化試験を含む前向検証の必要性を強調するデータである。


