ニボルマブとイピリムマブの投与量を入れ替える(flipped dose)と副作用が減り生存期間も延長する?
Evaluation of the flipped dose NIVO3+IPI1 in patients with advanced unresectable melanoma
背景
ニボルマブ+イピリムマブは、免疫チェックポイント阻害薬を含む初の確立された併用療法として、悪性黒色腫などで標準治療の一部となっているが、毒性の強さが問題とされてきた。CheckMate 511試験は、ニボルマブ1 mg/kg・イピリムマブ3 mg/kgという承認用量(NIVO1+IPI3)を入れ替えた、ニボルマブ3 mg/kg・イピリムマブ1 mg/kgのNIVO3+IPI1を用いることで、グレード3〜5の治療関連有害事象が有意に減少することを実証している。
スウェーデンKarolinska InstitutetのBjörkströmらは、Karolinska University Hospitalで切除不能悪性黒色腫の診断を受け、ニボルマブ+イピリムマブ併用治療を受けた全患者を対象とする後向コホート研究を実施し、CheckMate 511試験の知見をリアルワールドで検証した。
結論
NIVO3+IPI1群209名、NIVO1+IPI3群190名が解析の対象となった。NIVO3+IPI1群の患者は病期が早く、脳転移が少なく、転移臓器数も少なかった。
客観的奏効率はNIVO3+IPI1群で48.8%、NIVO1+IPI3群で36.9%であった。無増悪生存期間の中央値は、NIVO3+IPI1群8.9ヵ月、NIVO1+IPI3群2.7ヵ月であり(調整後ハザード比 0.67)、全生存期間の中央値は、NIVO3+IPI1群42.4ヵ月、NIVO1+IPI3群14.5ヵ月であった(0.59)。
グレード3〜5の免疫関連有害事象は、NIVO3+IPI1群の30.6%、NIVO1+IPI3群の51.1%で発生した。
評価
CheckMate 511試験以降にNIVO3+IPI1レジメンが承認されたスウェーデンにおいて行われたリアルワールド調査であり、NIVO3+IPI1群で有害事象が減少するのみならず、奏効率・生存期間も向上する可能性を示唆した。
毒性の軽さが治療完遂率の上昇、ひいては生存アウトカムにつながるという解釈は筋が良いが、あくまで後向調査であり、ベースライン因子の大きな差などがlimitationとなる。


