シャーガス病へのガイドライン薬を対決試験にかける:PARACHUTE-HF試験
Sacubitril/Valsartan vs Enalapril in Heart Failure Due to Chagas Disease: An Open-Label, Multicenter Randomized Clinical Trial
背景
シャーガス病(T. cruzi感染)に起因する駆出率低下心不全(HFrEF)患者に対する治療薬には、決め手がない。
アメリカDuke Clinical Research InstituteのLopesら(PARACHUTE-HF)は、462名の参加者を対象に、サクビトリル・バルサルタン(ARNI)とエナラプリル(ACE阻害薬)の有効性・安全性を比較するオープンラベルRCTを行った。
一次アウトカムは、12週までの心血管死・心不全入院・NT-proBNPの相対変化の階層化複合であった。
結論
ARNIとACE阻害薬との間に一次アウトカム効果の差を認めなかった。しかし、ARNI群は12週間でNT-proBNP値をより大きく低下させた(Win Ratio 1.52)。安全性に有意差はなかった。
評価
ガイドラインでARNIとACE阻害薬が拮抗しているため企画された対決試験だが、大差はなく、ANRIはNT-proBNPレベルを有意に低下させた。これを、第一推奨をANRIにする根拠とするかどうかは、議論が分かれる。著者らは、シャーガス病心筋症患者特有の病態(右心室機能不全や低血圧など)を考慮した、治療法の安全性の理解が重要であると強調している。


