家族性高コレステロール血症の小児・若年期スクリーニングは効果的だが費用対効果は低い
Familial Hypercholesterolemia Screening in Childhood and Early Adulthood: A Cost-Effectiveness Study

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
November 2025
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開始ページ
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背景

ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)は、未診断患者が多い。
アメリカColumbia UniversityのBellowsらは、10歳または18歳での脂質検査に遺伝子検査を組み合わせる連続FHスクリーニングの費用対効果をシミュレーションコホートで評価した。一次アウトカムは、直接医療費(2021年米ドル)・質調整生存年(QALY)・増分費用効果比(ICER)であった。

結論

通常ケアでは、シミュレーションコホートにおいて生涯合計3,118,000件のCVDイベントが発生し、そのうち16,182件がFH患者で発生した。FHスクリーニング戦略はCVDイベントを回避する効果(最大1820件回避)はあったが、通常ケアと比較して費用対効果は不十分であった(最小 ICER $289,700/QALY)。

評価

遺伝子スクリーニングの研究は多いが、費用対効果比が明らかに高いとされたのは、フェニルケトン尿症(PKU)程度である。若年成人期スクリーニング戦略のシミュレーションを試みたこの研究でも、FH遺伝子検査の費用対効果は低いことが示されたが、戦略は他にも存在する。著者らは、スクリーニングが非FH脂質異常症患者の生活習慣指導と長期脂質モニタリングの増加に繋がる場合、費用対効果が高くなる可能性がある、ともしており、最新の知見と効率的なコンピューターモデリングを活用し、臨床試験で検証するための最も有望なアプローチを模索する、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)