IgA腎症にAPRIL抗体薬sibeprenlimab登場:VISIONARY試験
Sibeprenlimab in IgA Nephropathy−Interim Analysis of a Phase 3 Trial
背景
サイトカインAPRILは、IgA腎症の重要な病態駆動因子と考えられている。
オーストラリアUniversity of New South WalesのPerkovicら(VISIONARY)は、同成人患者510名を対象として、APRILの選択的ヒト化IgG2モノクローナル抗体sibeprenlimabの有効性・安全性を検証する第3相RCTを行い、中間解析結果(320名)を報告した(対照:プラセボ, 4週ごと皮下投与)。
一次エンドポイントは、ベースラインと比較した9ヵ月後の24時間uPCR(尿蛋白/クレアチニン比)であった。
結論
Sibeprenlimabの一次エンドポイント効果を認めた:−51.2%。また、48週時点での病原性のガラクトース欠損型IgA1(Gd-IgA1)(−67.1%)およびAPRIL値(−95.8%)も大幅に減少した。安全性プロファイルはプラセボと同様で、重篤有害事象の発生率は実薬群3.5%、プラセボ群4.4%であった。
評価
Otsukaの開発薬で、11/26にFDA承認された(https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2025/20251126_1.html)。NEJMはすでに、BAFF/APRILを二重標的化したataciceptの第3相成功も伝えており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2510198)、他径路作動薬を含め、この分野の競争は激しい。本試験で観察された蛋白尿の51.2%減少は、既存の承認薬に優るとも劣らず、近未来におけるeGFRへの効果のデータ発表が期待される。なお、参加患者59.1%がアジア人であり、疾患の疫学が反映されている。


