AFカテーテルアブレーション成功後の低リスク患者には長期的抗凝固療法は不要?:OCEAN試験
Antithrombotic Therapy after Successful Catheter Ablation for Atrial Fibrillation

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2025
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開始ページ
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背景

心房細動(AF)のカテーテルアブレーションが成功した場合、長期的な抗凝固療法が不要になるかどうかは不明である。
カナダMcGill UniversityのVermaら(OCEAN)は、アブレーション成功後1年以上経過し、脳卒中リスク(CHA2DS2-VAScスコア1以上)のある患者1,284名を対象に、リバーロキサバンとアスピリンの有効性・安全性を比較検証した。
一次エンドポイントは、3年後の脳卒中・全身性塞栓症・新規潜在性塞栓性脳卒中(MRIで15 mm以上の新規梗塞が1つ以上あると定義)の複合であった。

結論

一次エンドポイントのイベントは、リバーロキサバン群で5名(100患者年あたり0.31イベント)、アスピリン群で9名(100患者年あたり0.66イベント)に発生した(相対リスク0.56、3年時点の絶対リスク差−0.6パーセントポイント)。
15 mm未満の新規脳梗塞は、リバーロキサバン群の3.9%、アスピリン群の4.4%に認められた(相対リスク  0.89)。致死的出血または大出血(一次安全性アウトカム)は、3年時点でリバーロキサバン群1.6%、アスピリン群0.6%に認められた(HR 2.51)。臨床的に関連性のある非大出血および小出血の発生率は、リバーロキサバン群で高かった。

評価

基本的問題に対して行われた重要な大規模検証だが、両群ともイベント発生率が予想よりも遥かに低く、3年後のMRIで新規脳梗塞の所見がない患者が96%に上った。これは、アブレーションがAF負荷を大幅に軽減し、脳卒中リスクをAF既往がない患者と同程度にまで低下させた可能性を示している。安全性に関して、致死的出血や大出血の発生率は同程度であったが、リバーロキサバン群では軽微な出血や臨床的に重要な非重篤出血が高頻度であった。現在のガイドラインの推奨に反し、本試験では抗凝固療法の継続による明白な利益は検出されず、低リスク患者に対して抗凝固療法の継続が妥当かどうかについて、再検討の必要性を示している。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)