IgA腎症にBAFF/APRIL二重阻害薬atacicept登場:ORIGIN 3
A Phase 3 Trial of Atacicept in Patients with IgA Nephropathy
背景
アメリカStanford UniversityのLafayetteら(ORIGIN 3)は、タンパク尿が持続するIgA腎症患者203名を対象に、同薬の有効性・安全性を検証する第3相試験の中間解析結果を報告した(対照:プラセボ)。
一次エンドポイントは、36週時点での24時間尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)のベースラインからの変化であった。
結論
Ataciceptの一次エンドポイント効果を認めた:45.7% vs. 6.8%(群間差[幾何平均]41.8パーセンテージポイント減)。二次エンドポイントでも、実薬群で血清Gd-IgA1値が68.3%減少(プラセボ群2.9%)し、ベースラインで血尿があった患者の81.0%で血尿が消失した(プラセボ群20.7%)。
有害事象発生率は実薬群59.3%、プラセボ群50.0%で、ほとんどが軽度または中等度であった。重篤有害事象実薬群0.5%、プラセボ群5.1%で、死亡例はなかった。
評価
Vera Therapeuticsによるファーストインクラス薬で、既存薬と異なりIgA腎症の病態生理(BAFFとAPRIL関連)を直接標的化している。蛋白尿減少効果は臨床的意義が大きく、ガイドライン変更を要求する可能性がある。国際的なRCTで、アジアと非アジア地域の患者が同等に組み込まれ、SGLT2阻害薬使用患者も半数以上含まれており、知見の適用範囲は広い。eGFRの結果は盲検解除後に公表されるため、長期的な腎機能安定化については現時点では不明である(先行第2b相試験ではeGFRの安定化が示されている)。すでにFDAに加速承認申請が出されており、承認は確実である。


