AED、「一家に一台」はコストパフォーマンスが悪い
Effectiveness and Cost-Effectiveness of Automated External Defibrillators in Private Homes: A Report From the Cardiac Arrest Registry to Enhance Survival

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Internal Medicine
年月
October 2025
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開始ページ
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背景

公共空間への自動体外式除細動器(AED)の設置が進んだことで、院外心停止(OHCA)のアウトカムは改善傾向にあるが、OHCAの大半を占める家庭内での心停止では効果が薄い。では、一般家庭にAEDを設置することは効果的だろうか。
デンマークAarhus UniversityのAndersenらは、アメリカのCardiac Arrest Registry to Enhance Survival(CARES)レジストリの観察データを用い、2017〜2024年に家庭内で発生した心停止(n=582,536)におけるAED使用と生存退院率の因果関係を検証した。また、意思決定分析(decision analysis)モデルによってアメリカの家庭におけるAED購入の費用対効果を分析した。

結論

ショック適応リズムの患者においては、AEDの使用が良好な生存率と関連した(リスク比 1.26)。一方、ショック非適応の患者では、関連は認められなかった(1.00)。差分の差分法を用いた因果関係の解析でも、結果は同様であった。
家庭へのAED設置の費用対効果比は、質調整生存年(QALY)あたり4,481,659ドルであった。QALYあたり200,000ドルを閾値として用いた場合、年間の心停止発生率が1.3%を超えるか、AED設置費用が65ドル以下(バイスタンダーのトレーニングコストは含めず)となった場合に費用効率的と考えられた。

評価

家庭内でのAED使用は、ショック適応患者において生存率の改善と関連したが、費用対効果は低かった。
この問題に関してはかつて、心筋梗塞既往のある集団を対象としたHAT試験が実施されたことがあるが、高リスク集団であるにもかかわらずベネフィットは示されなかった(https://doi.org/10.1056/NEJMoa0801651)。ホームAEDを正当化しうるほどイベント頻度の高い集団は非常に小さいと考えられ、非現実的な価格低下が起こらないかぎり、医療政策の俎上にはのらないだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)