透析患者は魚油を一日4g?:PISCES試験
Fish-Oil Supplementation and Cardiovascular Events in Patients Receiving Hemodialysis
背景
心血管(CV)疾患は血液透析患者の主要な死因だが、魚油はその低減に有益か。
カナダUniversity Health NetworkのLokら(PISCES)は、カナダ・オーストラリアの26施設における維持透析患者1,228名に魚油(4g)またはプラセボを投与するRCTを行った。複合一次アウトカムは、重篤CVイベントと全死因死亡であった。
結論
3.5年間の追跡で、魚油の一次アウトカム効果を認めた。重篤CVイベントリスクは43%低下した[心臓死(HR: 0.55)・心筋梗塞(0.56)・脳卒中(0.37)]。全死因死亡リスクも低下した(0.77)。魚油の安全性は、プラセボと同等であった。
評価
長い仮説で、最近でもomega-3サプリが無益だった、という報告もある(https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2405457723021447)。今回のRCTは大規模で、またサプリでなく魚油を使ったため、抗炎症作用など多面的効果があった可能性もある。確認されれば極めて有益であり、NEJM Editorialは、臨床家は魚油の使用を直ぐ検討するかもしれないが、歴史的には劇的な試験成功例が再現されないケースもあるため、確証試験の結果が出るまで慎重な姿勢を保つべきである、としている。


