新規多重標的TKI Zanzalintinibを追加でマイクロサテライト安定性大腸がんの免疫療法が効果:STELLAR-303試験
Zanzalintinib plus atezolizumab versus regorafenib in refractory colorectal cancer (STELLAR-303): a randomised, open-label, phase 3 trial
背景
大腸がんに対する免疫療法は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)患者において明確な有効性を示しているが、切除不能大腸がんの多くを占めるマイクロサテライト安定性(MSS)患者に対してはベネフィットが認められていない。
アメリカUniversity of California Los AngelesのHechtら(STELLAR-303)は、世界16ヵ国121施設、治療歴を有し、MSI-H/dMMRでない切除不能直腸・結腸がん患者を、多重標的チロシンキナーゼ阻害薬zanzalintinib+アテゾリズマブ、またはレゴラフェニブを割り付け、全生存期間について比較する第3相RCTを実施した(n=901)。
結論
ITT集団の全生存期間(中央値)は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群で10.9ヵ月、レゴラフェニブ群で9.4ヵ月であり、有意なベネフィットが認められた(ハザード比 0.80)。
肝転移のない患者サブセットでの中間解析では、全生存期間(中央値)は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群15.9ヵ月、レゴラフェニブ群12.7ヵ月であった(ハザード比 0.79, 非有意)。
グレード3以上の治療関連有害事象はzanzalintinib+アテゾリズマブ群の60%、レゴラフェニブ群の37%で発生し、それぞれ5名(1%)、1名(1%未満)が死亡した。
評価
VEGFR2、MET、TAMファミリーなど、複数のチロシンキナーゼを標的とする新規経口TKIと免疫療法を組み合わせることで、MSS切除不能大腸がんのOSを有意に延長した。絶対的な効果はmodestなものではあるが、MSSを攻略する足掛かりとなりうる結果である。
Zanzalintinibは他に、非淡明細胞型腎細胞がんでの第3相STELLAR-304試験(NCT05678673)など複数のがんを対象に開発が進んでいる。


