進行HER2変異肺がん患者で可逆的HER2 TKI、Sevabertinibが有望:SOHO-01試験
Sevabertinib in Advanced HER2-Mutant Non-Small-Cell Lung Cancer
背景
HER2(ERBB2)遺伝子の変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の2%〜4%に存在し、これを標的としたNSCLC治療薬としてトラスツズマブ デルクステカンが唯一承認を受けているほか、不可逆HER2チロシンキナーゼ阻害薬zongertinibも有望な活性を示している。
アメリカM.D. Anderson Cancer CenterのLeら(SOHO-01)は、局所進行または遠隔転移を有するHER2変異NSCLC患者を対象に、経口可逆的チロシンキナーゼ阻害薬sevabertinib(BAY 2927088)を1日二回投与し、客観的奏効率を評価する多施設共同第1-2相試験を実施した(n=209)。
患者は治療歴に基づいて、HER2標的治療ではない治療歴のあるコホートD、HER2標的の抗体薬物複合体歴のあるコホートE、前治療歴のないコホートFへと登録された。
結論
コホートD(n=81)の客観的奏効率は64%、奏効期間は中央値9.2ヵ月、無増悪生存期間は中央値8.3ヵ月であった。コホートE(n=55)の客観的奏効率は38%、奏効期間は8.5ヵ月、無増悪生存期間は5.5ヵ月であった。コホートF(n=73)の客観的奏効率は71%、奏効期間は11.0ヵ月、無増悪生存期間データはimmatureであった。
グレード3以上の薬剤関連有害事象は31%に認められた。最も一般的な有害事象は下痢であった。薬剤関連有害事象によって3%で治療が中止された。
評価
Sevabertinibは、HER2標的治療歴のない患者において高い抗腫瘍活性を示した。また、トラスツズマブ デルクステカンで問題となる間質性肺疾患は、LUNG-1試験のzongertinibと同様、本試験のsevabertinibでも1件も発現しなかった。
この結果を受けてアメリカ食品医薬品局(FDA)の優先審査に付されており、第3相試験としてSOHO-02試験が進行中である(NCT06452277)。


