PSA検診は前立腺がん死亡を13%減らす:ERSPC試験の23年結果
European Study of Prostate Cancer Screening - 23-Year Follow-up
背景
ERSPC試験(European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer)は、1993年以降、ヨーロッパ8ヵ国において、55〜69歳の男性(n=162,236)を前立腺特異抗原(PSA)検査(検診群)または検診なし(対照群)へと割り付けたRCTであり、2009年・2012年の報告において検診群での前立腺がん死亡の減少を認めた。
オランダUniversity Medical Center RotterdamのRoobolらは、追跡期間23年(中央値)を経過した同試験の最終報告を行った。
結論
検診群では、前立腺がんの死亡率が13%低下し(率比 0.87)、これは絶対リスクで0.22%の低下であった。前立腺がんの累積発症率は、検診群の方が高かった(率比 1.30)。
これは検診に招待された456人あたり1件、前立腺がんと診断された12人あたり1件での前立腺がん死亡の予防に相当した。また、追跡期間16年(中央値)時点の、検診に招待された628人あたり1件、前立腺がん診断された18人あたり1件と比較して、検診の有効性は向上していた。
評価
2009年PLCO試験と同時に発表され、PSA検診に関する国際的推奨に貢献したERSPC試験の最終結果となる。
23年の追跡期間後も、PSA検診による前立腺がん死亡の予防効果は継続しており、しかも利益と害のバランスは以前より改善されていた。
現在、PSA陽性後の診断戦略はより洗練されたものに変化しており、PSA検診の利益はもっと強調されても良いかもしれない。


