減量なしでも2型糖尿病発症は防止できる
Prevention of type 2 diabetes through prediabetes remission without weight loss
背景
現在の臨床ガイドラインは、2型糖尿病(T2D)予防において、糖尿病前症(prediabetes)者に対し減量を主目標として推奨しているが、減量のみを目指すより、正常血糖値(NGR)達成がT2D予防に効率的である。
ドイツUniversity of TübingenのBirkenfeldらは、大規模研究Prediabetes Lifestyle Intervention Study(PLIS)の事後解析として、減量を伴わない糖尿病前症寛解のメカニズムとそのT2D予防効果を検討した。
結論
ライフスタイル介入において、糖尿病前症からの寛解は体重減少なしで、あるいは体重増加を伴う場合でも、参加者の最大22%で達成可能であり、非寛解者と比較して、最長10年間でT2D発症リスクを71%低減した。これは、脂肪分布様式の差異(非寛解者で内臓脂肪が増加したのに対し、寛解者では皮下脂肪蓄積が増した)、インスリン感受性およびβ細胞機能の改善、さらにGLP-1感受性の上昇によってもたらされた。
評価
ライフスタイル介入によるT2D予防効果が、減量のみに依存するわけではないことを思い出させる興味深い研究である。ここで示されたような「無減量寛解」は、チアゾリジン系糖尿病薬(TZD)が脂肪をVATからSCATへ再分布させるのと類似した「TZD様」脂肪分布リプログラミング効果を基礎とする、と考えられる。T2Dの予防戦略において、体重減少目標に加え、正常血糖値(NGR)達成という代謝目標を、主要指標として臨床ガイドラインに組み込む必要性を強調する結果である。


