発症間もない若年1型糖尿病患者への抗胸腺細胞グロブリン最小有効量を特定:MELD-ATG試験
Minimum effective low dose of antithymocyte globulin in people aged 5-25 years with recent-onset stage 3 type 1 diabetes (MELD-ATG): a phase 2, multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, adaptive dose-ranging trial

カテゴリー
生活習慣病、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
September 2025
406
開始ページ
1375

背景

発症間もない1型糖尿病(T1DM)患者に対する疾患修飾治療法は確立されておらず、この病期における治療法をより迅速に評価できるアダプティブ・トライアルデザイン(AT)の利用が望まれる。
ドイツUZ LeuvenのMathieuら(MELD-ATG)は、8ヵ国14施設において、発症間もない臨床第3期のT1DM患者(5〜25歳)117名を対象に、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の最小有効量を特定するATによる第2相RCTを行った。
一次アウトカムは、12ヵ月後の2時間混合食負荷試験におけるC-ペプチド濃度のAUCであった。

結論

ATG 2.5 mg/kgおよび0.5 mg/kgの用量投与は、プラセボと比較してβ細胞機能の喪失を有意に抑制した。サイトカイン放出症候群は、2.5 mg/kg群の33%、0.5 mg/kg群の24%に発現し、プラセボ群では発現しなかった。血清病は、2.5 mg/kg群の82%、0.5 mg/kg群の32%に発現し、プラセボ群では発現しなかった。有害事象による死亡はなかった。

評価

T1DM治療法の評価にATを利用した初めての研究である。発症間もない若年T1DM患者に対し、既存の安価な薬剤であるATGが、低用量でもβ細胞機能の維持に有効であることを示した。有効性を示した0.5 mg/kgは、過去にT1DM治療で研究された用量と比較して大幅に低く、費用対効果の高い長期使用に適した疾患修飾薬となり得る。安価な既存薬(repurposed agent)の活用が、この集団の治療に貢献する可能性を示した意義は大きく、第3相試験による確認が急がれる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)