局所進行上咽頭がん、toripalimabによってシスプラチンのデ・エスカレーションが可能に:DIAMOND試験
Toripalimab Combination Therapy Without Concurrent Cisplatin for Nasopharyngeal Carcinoma: The DIAMOND Randomized Clinical Trial
背景
局所進行した上咽頭がんにおける標準的な初回治療は、ゲムシタビン+シスプラチンによる導入化学療法と同時シスプラチン・放射線治療であったが、近年、抗PD-1抗体toripalimabが上咽頭がんに対して有効性を示しており、局所進行上咽頭がんでも標準治療の一部となっている。
中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのXuら(DIAMOND)は、同国13施設でT4N1M0またはT1-4N2-3M0の上咽頭がん患者を登録し、ゲムシタビン+シスプラチン導入化学療法と強度変調放射線療法(IMRT)+シスプラチンへのtoripalimab併用(標準治療群)、またはゲムシタビン+シスプラチン導入化学療法とIMRTへのtoripalimab併用(同時シスプラチン省略群)を割り付け、同時シスプラチンの省略の安全性・有効性を評価する第3相RCTを実施した(n=532)。
結論
3年治療成功生存率は、同時シスプラチン省略群で88.3%、標準治療群で87.6%であり(層別化ハザード比 0.92)、群間差の信頼区間下限は非劣性マージンを満たした。
嘔吐(グレードを問わず)の発現率は、同時シスプラチン省略群で26.2%、標準治療群で59.8%と有意に低下し、患者報告QOLおよび忍容性についても同時シスプラチン省略群で良好であった。
評価
免疫チェックポイント阻害薬の併用によるシスプラチンの省略が、腫瘍学的リスクなしに可能であることを実証した。
嘔吐の減少やQOLの改善ももたらされており、患者にとっては大きな福音である。

