虚弱高齢者で降圧薬をステップダウンすると:RETREAT-FRAIL試験
Reduction of Antihypertensive Treatment in Nursing Home Residents
背景
介護施設入居の虚弱高齢者において、降圧薬の減量・中止の予後へのインパクトは。
フランスUniversite de LorraineのBenetosら(RETREAT-FRAIL)は、降圧剤を2種類以上服用し、収縮期血圧が130mmHg未満の80歳以上の虚弱な介護施設入居者1,048名を、プロトコルに基づく降圧薬の漸減戦略(ステップダウン群)と通常ケア(通常ケア群)に割り付けるRCTを行った。
一次エンドポイントは全死因死亡で、最長4年間追跡調査を行った。
結論
ステップダウン群と通常ケア群の間で、一次エンドポイントに有意差は認められなかった。
評価
重要なテーマで、最も信頼度が高いとみられるノルウェーのクラスター化RCTは、「血圧が低い虚弱高齢者では、慎重に降圧薬を減らしても高血圧はリバウンドしない」という仮説を支持するデータを示している(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29915617/)。このフランス研究は、客観指標全死因死亡での同等性を示してこの仮説をさらに強化するが、留意点は以下である[全参加者における全死因死亡率は60%を超えており、このような集団では、降圧剤の減量・中止が死亡率に与える影響は限定的である]オープンラベル試験である。


