NEJM論文も優越性臨床試験で統計的有意差と臨床的有意差を混同
Meta-analysis of cardiovascular superiority trials published in the NewEnglandJournalofMedicine to elucidate the concept of superiority margin
背景
統計的有意差と臨床的有意差の違いの問題は臨床試験の根本問題である。特に、優越性試験はオーバーパワー化することで臨床的意義の不明な統計的有意差を「有効」結果として提示している可能性がある。インドPostgraduate Institute of Medical Education and ResearchのMalhotraらは、NEJM掲載13の循環器関係優越性臨床試験(n=164,721)論文のメタ解析によって、この問題を検討した。
結論
一次有効性エンドポイントは、ほぼすべてMACEであった。プール化HRは0.86であり、差は臨床的有意差平均値である19.6%より小さかった。これら研究の95% CIは非常に広く(0.56〜0.99)、ほとんどの研究で上限は有意差無しラインにかかっていた。絶対リスク低減は1.19〜2.3%と小さく、NTT中央値は3年で63と大きかった。
評価
オーバーパワー化による臨床的「有効性」マージンの曖昧化は伝統的統計手法に基づく優越性試験の根本問題だが、NEJMもこれを見逃し続けていることが示唆される。FDAの承認ポリシーにも関わる重要問題である。