血中TMAOレベルの上昇は腹部大動脈瘤リスク増と関連する
Circulating Trimethylamine N-Oxide and Growth Rate of Abdominal Aortic Aneurysms and Surgical Risk
背景
腹部大動脈瘤（AAA）の進行速度や外科的介入リスクを評価するバイオマーカーは不足している。
アメリカCleveland ClinicのCameronらは、ヨーロッパとアメリカの2つの独立した臨床コホート（計895名）に対する前向コホート研究を行い、TMAOが、AAAの進行と外科的介入のリスクを予測できるかを検証した。
一次アウトカムは、急速に成長するAAA（年間 4.0 mm以上）、および外科的介入の推奨（年間 4.0 mm以上または直径 5.5 cm以上）であった。
結論
血中TMAO濃度の上昇は、一次アウトカムリスクと有意に関連していた【年間4 mm以上の急速な拡大（調整オッズ比［aOR］: 欧州2.75、米国2.71）、外科的介入（欧州2.67、米国2.73）】。TMAOレベルを従来の心血管リスク因子に加えることで、AAAの進行予測モデルの精度が大幅に向上した。
評価
Cleveland Clinicが主導するTMAO研究の最新成果で、TMAOが腹部大動脈瘤進行予測の新たな血液バイオマーカーとなりうることを説得的に示した。TMAOは特に心血管系疾患を中心とする多様な病態のバイオマーカであることが認知されてきており（https://www.mdpi.com/1422-0067/25/23/12511）、腹部大動脈瘤進行予測での有用性は、多面バイオマーカとしてのその価値を高める。さらに、食事療法を通じてTMAOレベルを管理することが、AAAの予防や治療に役立つ可能性があることも示唆される。
