セマグルチドのリアルワールドインパクトを大規模調査
Changes in Cardiovascular Risk Factors and Health Care Expenditures Among Patients Prescribed Semaglutide
背景
経口セマグルチドは、臨床試験で体重減少と心血管系改善効果を示しているが、実際の臨床現場での効果と医療費への影響は。
アメリカYale School of ManagementのAbaluckらは、2つの大規模医療システムの電子カルテデータ(n=23,522)を用いて、セマグルチド処方開始後の心血管リスク因子と医療費の変化を評価した。
結論
セマグルチド投与開始は、13〜24ヵ月の期間で、体重(−3.8%)・血圧(DBP−1.5 mmHg、SBP−1.1 mmHg)・全コレステロール(−12.8 mg/dL)・HbA1cレベル(糖尿病[DM]患者−0.3%、非DM患者−0.1%)の有意な改善と関連していた。特に、非DM患者でより顕著な体重減少がみられた(−5.1%)。しかし、セマグルチド自体の費用を除いた推定医療費は月額80ドル増加し、これは入院費の増加、特に循環器系・代謝系診断に関連する入院の増加によるものであった。
評価
セマグルチドのリアルワールドインパクトに関する初めての大規模調査である。同薬による臨床現場での心血管リスクプロファイルの改善を確認する一方、短期的には同薬の導入が医療費の増加をもたらすことを明らかにし、長期的費用対効果の評価が不可欠であることを示した。また、リアルワールド効果が臨床試験での効果より小さいことは注目される。