外傷性出血での早期フィブリノゲン補充療法は無益か:系統的レビュー・メタアナリシス
Effect of early administration of fibrinogen replacement therapy in traumatic haemorrhage: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials with narrative synthesis of observational studies
背景
重症外傷での低フィブリノゲン血症は死亡率の上昇と関連しており、これまでフィブリノゲン補充療法が検討されてきたが、2023年に発表された最大規模のランダム化試験、CRYOSTAT-2を含め、生存率の改善を示したことはない。
イングランドQueen Mary University of LondonのBurtらは、入院4時間以内の外傷性出血患者を対象として、クリオプレシピテート製剤またはフィブリノゲン濃縮製剤(FgC)の使用を検証した既存の臨床研究を検索し、早期フィブリノゲン補充療法が死亡率に与える影響を評価する系統的レビュー・メタアナリシスを行った。
結論
1,906件の研究がスクリーニングされ、うち12件が含まれた。5件はランダム化比較試験であり、うち3件はFgCを、2件はクリオプレシピテート製剤を使用しており、4件が外傷性出血疑い例での経験的なフィブリノゲン補充療法を検討していた。
死亡率はフィブリノゲン補充療法群で24%、対照群で25%であり、群間差はなかった(オッズ比 1.03)。FgCを使用した試験に限った死亡率は、FgC群18.1%、対照群10.9%であったが、これについても有意差は認められなかった(1.99)。深部静脈血栓症の発症はフィブリノゲン補充療法群3%、対照群で4%と差がなかった(1.25)。
全体として、エビデンスの質は低いと評価された。
評価
このシステマティックレビューでは、早期フィブリノゲン補充療法のベネフィットは認められなかった。
治療効果の是非以上に、エビデンスの不足を浮き彫りにする結果であり、1時間以内の超早期フィブリノゲン補充や目標指向型戦略など検討されるべき問題は残されている。


