小細胞肺がんの二次治療でタルラタマブが生存期間延長:DeLLphi-304試験
Tarlatamab in Small-Cell Lung Cancer after Platinum-Based Chemotherapy
背景
タルラタマブは、小細胞肺がん(SCLC)細胞表面のデルタ様リガンド3(DLL3; SCLC細胞のほとんどで発現する)とT細胞上のCD3に結合する二重特異性T細胞誘導(BiTE)であり、治療歴を有するSCLC患者を対象とした第2相DeLLphi-301試験において、有望な抗腫瘍活性を示している(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2307980)。
ギリシャHenry Dunant Hospital CenterのMountziosらは、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療中・治療後に病勢進行をみたSCLC患者の二次治療として、タルラタマブまたは化学療法を割り付け、全生存期間を比較する第3相RCT、DeLLphi-304試験を実施した(n=509)。
結論
全生存期間(中央値)は、タルラタマブ群で13.6ヵ月、化学療法群で8.3ヵ月と、タルラタマブによって有意に延長した(層別ハザード比 0.60)。
無増悪生存期間、さらにがん関連呼吸困難・咳嗽についてもタルラタマブの有意なベネフィットが認められた。グレード3以上の有害事象発現率(54% vs. 80%)、治療中止に至る有害事象発現率(5% vs. 12%)はタルラタマブ群で低かった。
評価
二次治療としてのタルラタマブは、生存期間を有意に延長し、SCLCで一般的な呼吸困難/咳嗽についてもベネフィットを示した。選択肢の乏しいこの集団の治療における重要な前進となる。
より早期でのベネフィットを検証すべく、DeLLphi-305試験(NCT06211036; 進展型での初回治療)、DeLLphi-306(NCT06117774; 限局型での二次治療)、DeLLphi-312試験(NCT07005128; 初回治療での併用)など、複数の試験が開始されている。


