トラスツズマブ デルクステカン、HER2陽性胃がんのセカンドラインで上乗せ効果示す:DESTINY-Gastric04試験
Trastuzumab Deruxtecan or Ramucirumab plus Paclitaxel in Gastric Cancer
背景
抗HER2抗体とトポイソメラーゼI阻害薬からなる抗体薬物複合体、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、HER2陽性胃がんの二次治療および三次治療において承認されているが、既存の二次治療と直接的に比較するRCTは行われていなかった。
日本National Cancer Center Hospital East(国立がん研究センター東病院)のShitaraら(DESTINY-Gastric04)は、世界152施設で、トラスツズマブをベースとした初回治療後に病勢進行を認めたHER2陽性切除不能胃がん・食道胃接合部がん患者を、ラムシルマブ+パクリタキセルまたはT-DXdへと割り付け、全生存期間を比較する第3相RCTを実施した(n=494)。
結論
全生存期間(中央値)はT-DXd群14.7ヵ月、ラムシルマブ+パクリタキセル群11.4ヵ月と、トラスツズマブ デルクステカン群で有意に延長した(ハザード比 0.70)。
無増悪生存期間(ハザード比 0.74)、確定した客観的奏効率(44.3% vs. 29.1%)についてもT-DXd群で優った。薬剤関連有害事象はT-DXd群の93.0%、ラムシルマブ+パクリタキセル群の91.4%で発生し、グレード3以上はそれぞれ50.0%、54.1%であった。薬剤関連の間質性肺疾患または肺炎は、T-DXd群の13.9%、ラムシルマブ+パクリタキセル群の1.3%で発生した。
評価
T-DXdは、標準的二次化学療法と比較して有意に生存期間を延長した。新たな標準治療として加わることになるだろう。
また、初回治療としてのT-DXdの検証を後押しするデータでもある。