1型糖尿病への幹細胞療法zimislecel、第3相へ:VX-880-101 FORWARD試験
Stem Cell-Derived, Fully Differentiated Islets for Type 1 Diabetes
背景
Zimislecelは新規同種幹細胞由来膵島細胞療法である。
アメリカVertex PharmaceuticalsのMarigowdaら(VX-880-101 FORWARD)は、14名の1型糖尿病(T2DM)患者参加者にzimislecelの半量または全量を単回注入する第1/2相試験を行った(追跡12ヵ月以上)。免疫抑制療法を併用した。一次エンドポイントは、重度低血糖イベントの非発生とHbA1c改善であった。
結論
Zimislecel注入前に検出されなかったCペプチドが、全患者で注入後に検出され、移植・膵島機能の確立が示された。最も高頻度の重篤有害事象は好中球減少症(3名)で、2名が死亡した(クリプトコッカス髄膜炎、神経認知障害の進行による激越を伴う重度の認知症)。12名の患者が重度低血糖イベントを起こさず、HbA1cは7%未満を維持した。目標血糖範囲であった時間も70%を超え、12名中10名は365日時点で外因性インスリン非依存であった。
評価
膵島細胞移植ではすでにLantidra(donislecel)がFDA承認されているが、ドナーからの移植であり、幹細胞由来・ラボベースの zimislecelとは根本的に異なる。未来のスタンダード再生医療として期待され、すでに第3相が進行しているが、リスク(免疫抑制)とコスト(治療費)の問題は軽視し難い。


