固形がんに対するCAR T細胞療法、初のRCT結果は有望:CT041-ST-01試験
Claudin-18 isoform 2-specific CAR T-cell therapy (satri-cel) versus treatment of physician's choice for previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction cancer (CT041-ST-01): a randomised, open-label, phase 2 trial
背景
Claudin-18アイソフォーム2(CLDN18.2)は、胃がん・食道胃接合部がんでの治療標的として注目されており、最近では抗CLDN18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブが臨床有効性を示している。Satricabtagene autoleucel(satri-cel; CT041)は、CLDN18.2を標的としたキメラ抗原受容体(CAR)自己T細胞療法であり、第1相試験で有望結果を示した。
中国Peking University Cancer Hospital & InstituteのQiら(CT041-ST-01)は、CLDN18.2陽性で、2ライン以上の治療に抵抗性となった進行胃がん・食道胃接合部がん患者を、2:1の割合でsatri-cel投与(250×106 cellsを最大3回)、または主治医選択の標準治療へと割り付け、無増悪生存期間を比較する第2相RCTを実施した(n=156)。
結論
Satri-cel群の27%、標準治療群の19%が3ライン以上の治療歴を有し、satri-cel群の69%、標準治療群の60%が腹膜転移を有した。
無増悪生存期間(中央値)は、satri-cel群で3.25ヵ月、標準治療群で1.77ヵ月であった(ハザード比 0.37)。
割り付け治療薬の投与を1度以上受けた患者におけるグレード3以上の治療関連有害事象発現率は、satri-cel群99%、標準治療群63%であった。Satri-cel群で最も頻度の高いグレード3以上の治療関連有害事象は、リンパ球数減少、白血球数減少、好中球数減少であった。サイトカイン放出症候群はsatri-cel群の95%で発現した。
評価
CLDN18.2を標的とする新たなCAR-T細胞療法、satri-celの安全性プロフィルは管理可能なものであり、標準治療と比して有意なPFS延長を認めた。
固形がんに対するCAR-T細胞療法を検証するものとしては初のRCTであり、このアプローチの未来に期待を持たせる結果である。

