MMA塞栓術はCSDH再発予防に無益?:EMPROTECT
Meningeal Embolization for Preventing Chronic Subdural Hematoma Recurrence After Surgery: The EMPROTECT Randomized Clinical Trial
背景
中硬膜動脈(MMA)塞栓術は、慢性硬膜下血腫(CSDH)の再発率を抑制するのか。
フランスPitie-Salpetriere HospitalのShotarら(EMPROTECT)は、術後CSDH再発高リスク患者342名をMMA塞栓術群と標準治療群に割り付けるRCTを行った。
一次アウトカムは、6ヵ月時点でのCSDH再発であった。
結論
一次アウトカムは、MM群14.8%、対照群21.0%で発生し、統計的有意差は認められなかった。再手術率や塞栓術関連合併症にも有意差はなかった。
評価
高齢化に伴うCSDHの急増によりホットになったテーマで、すでに主要3試験(STEM・EMBOLISE・MAGIC-MT)の結果が相次いでNEJM報告されている。EMPROTECTは手術補助としてのMMA塞栓術の効果を評価した、という点でユニークである。EMOLISEとSTEMがポジティブな結果であった一方、MAGIC-MTでは有意差がみられておらず、今回のEMPROTECT結果は「無益」側にさらなるエビデンスを加えて、混乱を深めた。試験間の差異に関しては患者集団・手技等様々な要因が考えられるが、いずれの試験も未だ長期結果は知られていない。