カロリー制限ダイエットは男性・肥満者をうつにする?
Mental health consequences of dietary restriction: increased depressive symptoms in biological men and populations with elevated BMI

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
BMJ Nutrition Prevention & Health
年月
June 2025
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開始ページ
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背景

多くの人が健康増進のため、カロリー制限や栄養素制限といった制限的食生活、あるいは糖尿病食など医師が処方した食事療法を採用しているが、食生活がメンタルヘルスに与える影響は。
カナダUniversity of TorontoのBhatらは、2007〜2018年のNHANESデータを用い、性別・BMI別に制限的食生活のパターンとうつ病症状との関連を評価する横断研究を行った(n=28,525)。参加者は、うつ症状の評価スケール、PHQ-9に回答した。

結論

参加者の7.79%がうつ症状を報告した。特定の食事療法を遵守しない群と比較し、カロリー制限食遵守群はPHQ-9スコアが0.29ポイント上昇した。過体重の参加者では、カロリー制限食が0.46ポイント、栄養素制限食が0.61ポイントのPHQ-9スコア上昇と関連した。食事療法を行う男性は身体症状スコアが高く、栄養制限食摂取男性は非摂取女性より認知感情症状スコアが0.40ポイント高かった。

評価

「健康食」のメンタルへの好影響を示す研究は多く、超低カロリー食(VLCD)に関しても、うつ症状を改善することを示唆した研究(https://www.nature.com/articles/s41366-018-0245-4)があるが、この研究はユニークな対照的結果を提出した。多くの類似研究と比べ、参加者が多いことが強みで、以降の議論の出発点となりうる。著者らは、オメガ3脂肪酸等の認知的健康に有益とされる栄養素が少ない制限食が、栄養ニーズの高い男性においてうつ症状を誘発する可能性があるとし、BMIと性別に基づき食事療法をカスタマイズすることが必要だ、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)