重度AS患者におけるTAVRでのACURATE neo2、SAPIEN 3・Evolutへの非劣性を示せず:ACURATE IDE
ACURATE neo2 valve versus commercially available transcatheter heart valves in patients with severe aortic stenosis (ACURATE IDE): a multicentre, randomised, controlled, non-inferiority trial
背景
すでにEUで使用されている新しい自己拡張型TAVRデバイスACURATE neo2は、未だRCTで評価されていない。
アメリカCedars-Sinai Medical CenterのMakkarら(ACURATE-IDE)は、米国とカナダの重症大動脈弁狭窄症(AS)患者1,500名を対象に、ACURATE neo2を用いたTAVRの安全性・有効性を、SAPIEN 3またはEvolutと比較する非劣性RCTを行った。
一次エンドポイントは、1年時点の全死因死亡・全脳卒中・再入院の複合であった。
結論
一次エンドポイントの事後確率は、ACURATE neo2群が16.2%、対照群が9.5%と、ACURATE neo2群で有意に高かった。群間差の上限は非劣性マージンを超えた。カプランマイヤー法による複合エンドポイントの割合もACURATE neo2群で有意に高く(14.8% vs. 9.1%)、ハザード比は1.71であった。心血管(CV)死とspontaneous MI(自然発症の心筋梗塞)もACURATE neo2群で多かった。また、1年後の人工弁逆流は、ACURATE neo2群で有意に多く認められた。
評価
ACURATE neo2によるTAVRのSAPIEN 3・SAPIEN 3 Ultra・Evolutに対する非劣性を仮説とした研究だったが、失敗した。事後解析では、ACURATE neo2弁の約20%が十分拡張していなかったことが判明し、適切に拡張していた場合には、結果は対照群と同等であった、という。Boston Scientific社は、今後の試験では改善を組み込むとしているが、EUと異なりアメリカで承認されるかどうかは未だ明らかでない。なお、他のTAVR新規デバイスとしては、JenaValve Trilogy・Abbott Navitor・Medtronic Evolut FX等がある。