サイトカインで強化されたarmored CAR T細胞療法が概念を実証
Enhanced CAR T-Cell Therapy for Lymphoma after Previous Failure

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2025
392
開始ページ
1824

背景

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法はB細胞腫瘍の治療に長足の進展をもたらしたが、依然として半数以上の患者では長期の寛解が得られず、これらの患者に残された治療選択肢は少ない。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのSvobodaらは、抗CD19 CAR T細胞療法が失敗したCD19陽性B細胞リンパ腫患者を対象に、インターロイキン18(炎症促進性サイトカインの一つ)を分泌するようデザインされた抗CD19 armored CAR-T細胞製剤、huCART19-IL18の安全性・フィジビリティ、および予備的有効性を評価する第1相試験を実施した。

結論

21名の患者がhuCART19-IL18の投与を受けた。
サイトカイン放出症候群は62%に発現し(47%はグレード2以下)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群は14%に発現した(いずれもグレード2以下)。予想外の有害事象は認められなかった。
すべての用量レベルでCAR T細胞の堅固な増殖が検出された。注入後3ヵ月で81%の患者で部分奏効以上、52%で完全奏効が認められた。追跡期間の中央値17.5ヵ月で、奏効持続期間の中央値は9.6ヵ月であった

評価

新たに開発されたarmored CAR T細胞療法は、既存CAR T細胞療法が無効、あるいは再発に至った患者で高い有効性を示した。
サイトカイン強化CAR T細胞療法のコンセプトは、腫瘍微小環境で強力な免疫抑制が働く固形がんでも有望視されており、本研究の結果は血液がんに留まらない意義を持つ。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)