健康な老化のために良質の炭水化物摂取を:Tufts-Harvard 32年研究
Dietary Carbohydrate Intake, Carbohydrate Quality, and Healthy Aging in Women
背景
良質な炭水化物は、慢性疾患と全死因死亡リスクを低下させるが、健康的な老化への影響は。
Tufts UniversityのKoratらは、1984〜2016年に4年ごとに収集されたNHSデータを用い、1984年時点で60歳未満の47,513名(ベースライン平均48.5歳)を対象に、炭水化物の摂取とその質が健康的な老化(主要慢性疾患、認知・身体機能障害なし、良好な精神的健康)に及ぼす長期的影響を検討する前向コホート研究を行った。
結論
総炭水化物(エネルギー10%増加あたりオッズ比[OR]: 1.17)と良質な炭水化物(1.31)の摂取量の増加は健康な老化と正に相関した。精製炭水化物摂取は負に相関した(0.87)。果物・野菜・全粒穀物由来の炭水化物摂取も正に相関した(エネルギー5%増加あたりOR 1.11)。総食物繊維と果物・野菜・穀物由来食物繊維も同様であった。グリセミック負荷(GL)とは正に相関したが、食物繊維の調整で相関は弱化した。グリセミック・インデックス(GI)と炭水化物/食物繊維比の高さは健康な老化と負に相関した。精製炭水化物・動物性タンパク質・総脂肪・トランス脂肪酸の高質炭水化物への置換は、正に相関した。
評価
炭水化物の種類の健康への短期影響は既知だが、30年という長期影響をこの規模で評価した前向研究は初めてである。ここでの結果は、穀物・果物の食物繊維が健康な老化と正の相関関係にあることを観察したオーストラリアの成人1,609名を対象とした10年間の追跡調査と一致する(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27252308/)。
NHSの、主に白人女性医療従事者を対象とした研究であり、より多様なコホートにおける長期効果の追試が必要である。