中リスク肺塞栓症でのカテーテル介入を直接比較:PEERLESS試験
Large-Bore Mechanical Thrombectomy Versus Catheter-Directed Thrombolysis in the Management of Intermediate-Risk Pulmonary Embolism: Primary Results of the PEERLESS Randomized Controlled Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Circulation
年月
February 2025
151
開始ページ
260

背景

肺塞栓症(PE)の管理はリスク評価により異なり、右室機能障害を有する中リスクPEでは抗凝固療法が推奨されているが、一部の患者は早期死亡に至る。大口径機械的血栓除去術(LBMT)と経カテーテル的血栓溶解療法(CDT)は、中リスクPEにおけるオルタナティブと目されているが、直接比較したRCTは存在しない。
アメリカEmory University HospitalのJaberら(PEERLESS)は、世界3ヵ国57施設で、右室拡大に加えて他の臨床的リスク因子を有する中リスクPE患者を対象に、LBMTまたはCDTを割り付け、階層化された5種の複合エンドポイントの勝利比を比較する国際共同RCTを実施した(n=599)。

結論

一次エンドポイントはLBMT群で有意に少なく(勝利比 5.01)、特に5種のエンドポイントのうち、臨床的悪化/bailout介入エピソード(1.8% vs. 5.4%)、割り付け治療後の集中治療室入室(41.6% vs. 98.6%)、24時間を超える滞在(19.3% vs. 64.5%)がLBMT群で有意に減少した。
全原因死亡、頭蓋内出血、大出血については群間差は認められず、24時間後の評価では呼吸数、呼吸困難感、右室機能障害についてLBMT群が優り、また入院期間および全原因再入院についてもLBMT群で優れた。

評価

中リスクPE患者を対象にカテーテルベースの介入を比較した初のRCTであり、LBMTにより臨床的悪化/bailoutへのエスカレートが減少し、後続の医療リソース使用も抑制された。
中リスクPEで血管内治療を選択する際に考慮すべきデータといえるが、スタンダードな抗凝固療法と比べてアウトカムを改善するのかは明らかではない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)