短期心理療法でICU退室後のPTSDを軽減する:PICTURE試験
Effects of a general practitioner-led brief narrative exposure intervention on symptoms of post-traumatic stress disorder after intensive care (PICTURE): multicentre, observer blind, randomised controlled trial
背景
治療の進歩により集中治療室(ICU)に入室した患者の生存率は向上しているが、それにともなってICUサバイバーで頻繁に発生する心的外傷後ストレス障害(PTSD)も大きな問題となっている。
ドイツLMU University HospitalのGensichenら(PICTURE)は、重篤疾患を生存し、PTSD症状を呈する成人患者を、総合診療医(GP)と看護師による心理コンサルテーション・面談介入(ナラティブ・エクスポージャー・セラピー: NET)、またはPTSDガイドラインに基づく通常ケアへと割り付け、6ヵ月後のPTSD症状を比較する多施設RCTを実施した。
結論
1,283名でPTSD症状のスクリーニングが行われ、319名が試験に組み込まれた。
PDS-5の群間平均差は、6ヵ月時点で4.7ポイント、12ヵ月時点で5.4ポイントと、いずれも介入群で軽減されたが、事前に指定された臨床的に意義のある最小差(MCID)である6ポイントには達しなかった。
二次アウトカムのうち、うつ、健康関連QOL、障害については介入群でより大きな改善が認められた。
評価
2000年代のドイツで開発されたNETは、ライフラインの作成や曝露療法といったプロセスを通じて、断片的なトラウマ記憶をナラティブによって再構成し、「過去のもの」として対象化することを目指す短期心理療法である。
この研究では、NETによって、効果は大きいとは言えないものの、ICU後のPTSDが軽減されることを示した。


