バレニクリンが若者の電子タバコ使用中止に劇的効果
Varenicline for Youth Nicotine Vaping Cessation: A Randomized Clinical Trial
背景
青少年・若年成人のニコチン入り電子タバコ使用中止に決め手はないか。
アメリカMassachusetts General HospitalのEvinsらは、紙巻きタバコ非喫煙者で毎日またはほぼ毎日ニコチン入りの電子タバコを使用している参加者261名を対象とした3群RCTで、バレニクリン投与の有効性を評価した。参加者は、1)バレニクリン+週1回の行動カウンセリング+「This is Quitting(TIQ)」という無料のテキストメッセージによるサポート、2)プラセボ薬+週1回の行動カウンセリング+TIQ、3)TIQのみに割り付けられ、各群は12週間治療を受け、その後さらに12週間、毎月経過観察を受けた。
一次アウトカムは、バレニクリン投与最終4週間(9〜12週)の生化学的検証による継続中止率であった。
結論
バレニクリンの顕著な一次アウトカム効果を認めた[51% vs. 14%(aOR: 6.5)]。二次アウトカム(9〜24週の継続中止率)もバレニクリンが顕著に高かった(aOR 6.0)。さらに、TIQのみと比較しても、バレニクリンは顕著に有効だった(aOR 16.9)。忍容性は概ね良好で、薬剤中止例は実薬群2%、プラセボ群1%であった。重篤な薬剤関連有害事象はなかった。治療関連有害事象は各群同等だった。
評価
電子タバコを中止した参加者が紙巻きタバコに転向した例はなかった、という。ここでの効果は劇的で、この結果を受けてNIHは直ちにこの用途のためにバレニクリンを強く推奨した(https://www.nih.gov/news-events/nih-research-matters/smoking-cessation-pill-may-help-youth-quit-vaping)。Pfizer社の同薬チャンピックスは、すでに成人の禁煙治療薬としてFDA承認されており、アメリカでは16〜25歳に使用可能だが、日本では昨年8月から供給問題で出荷停止しており、後発品は国内未承認・未販売である。