軽症急性呼吸不全への早期NIVは重症化を抑制:NAVIGATE試験
Early noninvasive ventilation in general wards for acute respiratory failure: an international, multicentre, open-label, randomised trial
背景
急性呼吸不全に対する非侵襲的換気(NIV)は、重症化と侵襲的人工呼吸器への進行を予防すると考えられているが、臨床試験の多くは集中治療室(ICU)入室患者など、重症の急性呼吸不全を対象としてきた。
イタリアIRCCS San Raffaele Scientific InstituteのMontiらは、イタリア・ギリシア・カザフスタンの11施設で、軽症急性呼吸不全(Pao2/FiO2比 200以上)を呈する成人患者を登録し、8時間おき2時間サイクルの早期NIV(最長12日まで)または通常ケアへと割り付け、重症への進行を予防するか検証する、多施設共同RCT、NAVIGATE試験を実施した(n=524)。
結論
重症急性呼吸不全(重症の低酸素血症・呼吸窮迫症状・高炭酸ガス血症)への進行は、早期NIV群で18.5%、通常ケア群で28.3%であった(相対リスク 0.65)。
入院期間や呼吸器合併症、28日死亡率、有害事象に群間差は認められなかった。
評価
11年にわたって行われた多国籍RCTで、ICU入室を要しない軽症の急性呼吸不全患者に対するNIVは、重症化率を有意に低減した。
高流量経鼻酸素が普及する以前にデザインされた試験で限界はあるが、早期の非侵襲的呼吸サポートを支持するエビデンスとなる。


