敗血症リスクを予測する初のFDA承認AIツール
FDA-Authorized AI/ML Tool for Sepsis Prediction: Development and Validation

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
NEJM AI
年月
December 2024
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開始ページ

背景

Sepsis ImmunoScoreは、2024年、敗血症診断ツールとしては初めて米国食品医薬品局(FDA)の販売承認を受けた、人工知能(AI)ベースのソフトウェアである。
アメリカPrenosisのBhargavaらは、同ツールの開発および検証について報告した。この多施設前向研究では、感染疑い(血液培養の採取により定義)の成人患者のデータを元に、24時間以内の敗血症発症(Sepsis-3基準)の確率を予測する教師ありランダムフォレストモデルを導出し(導出コホート, n=2,366)、内部検証コホート(n=393)および外部検証コホート(n=698)においてこれを検証した。

結論

Sepsis ImmunoScoreは24時間以内の敗血症発症について高い精度を示し、曲線下面積は導出コホートで0.85、内部検証コホートで0.80、外部検証コホートでは0.81であった。
スコアは対応する尤度比に基づき、敗血症リスクレベルを4つに分類した(低リスク0.1、中リスク0.5、高リスク2.1、超高リスク8.3)。このリスクカテゴリーは院外死亡率を予測可能で、外部検証コホートでは低リスク群0.0%、中リスク群1.9%、高リスク群8.7%、超高リスク群18.2%であった。他の二次エンドポイントについても同様の傾向が認められた。

評価

人口統計学的因子、バイタルサイン、各種臨床検査を包括的に組み合わせて、敗血症リスクを予測する電子カルテ統合ソフトウェアであり、検証コホートでも高い予測精度を示した。
このモデルはアメリカの大規模病院の患者集団・実践を反映していると考えられ、そのまま他国に適応可能ではないだろうが、機械学習モデルによって敗血症が高精度で予測可能という知見には価値がある。

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大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)