郵送による便潜血検査には返送の締め切りを設定すると良い:TEMPO試験
Behavioural interventions to increase uptake of FIT colorectal screening in Scotland (TEMPO): a nationwide, eight-arm, factorial, randomised controlled trial
背景
便潜血検査による大腸がん検診は、大腸がん死亡のリスクを軽減することが示されているが、世界的に受診率には改善の余地が大きい。
イギリスUniversity of GlasgowのRobbらは、スコットランドで50〜74歳の個人に隔年で実施される便潜血大腸がん検診、Scottish Bowel Screening Programmeに返送期限と問題解決プランニングツールの二つの介入を組み込み、便潜血検査の返送率を比較する2×4要因のRCT、TEMPO試験を実施した(n=40,000)。
返送期限の提案は、なし、1週間以内、2週間以内、4週間以内の4通り、問題解決プランニングツールはIf-Thenプランニングが使用された。
結論
3ヵ月以内の返送率は、返送期限の提案なし・プランニングツールなしの対照群で66.0%であったのに対し、最も高い2週間・プランニングツールなし群では68.0%、最も低い期限なし・プランニングツールあり群では63.2%であった。
返送期限の提案は返送率にプラスの効果をもたらし(調整オッズ比 1.13)、プランニングツールには効果が見られなかった(0.98)。また、両者には交互作用があり、返送期限の提案がない場合には、プランニングツールは有害と考えられた(0.88)。
二次解析では、期限の提案はより早い時点での返送率を向上させた。
評価
デッドラインの設定は、行動科学的な動機付けを高め、便潜血検査キットの返送率を高めた。
返送率の改善はわずか2%とはいえ、一文を追加するだけというほぼコストゼロの介入であり、採用の価値はあるだろう。